登録免許税の計算方法を、実際の金額を使って計算例を掲載してみました。後はご自分の評価額や売買額を当てはめれば簡単に計算出来ます。
登録免許税の計算方法
登録免許税額は、原則として次のように計算します。
登録免許税額=(課税標準)×(税率)
課税標準は、申請する登記の種類によって、①不動産の価格による場合、②債権金額による場合、③不動産の個数による場合の3つがあります。
登録免許税計算の端数処理の基本
評価額の端数処理
条件:土地A評価額456,789円 土地B評価額987,654円 税率20/1000
評価額の下3桁を切り捨てます。
端数処理を行って456,000円を評価額とする。
例:456,000×0.02=9,120
※複数の物件の場合は最初に合算してから端数処理を行います。
456,789+987,654=144,443 評価額144,000円
計算結果の端数処理
条件:計算結果9,120円
計算結果の下2桁を切り捨てます。
例:9,120円 登録免許税は端数処理をを行って9,100円となります。
※計算結果が1,000円未満の場合は1,000円が登録免許税となります。
売買を原因とする所有権移転登記の場合
(1)課税標準
市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合は、その価格です。市町村役場で証明書を発行しています。
固定資産課税台帳がない場合は、登記所が認定した価格です。不動産を管轄する登記所の登記官にお問い合わせください。
1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は1,000円になります。
(2) 税率
土地の売買
○平成29年4月1日から令和3年3月31日まで 1000分の15
○令和3年4月1日から 1000分の20
土地以外の不動産の売買 1000分の20
なお、個人が一定の要件を満たす住宅用家屋を購入した場合には、市区町村長などが発行する証明書を添付して、 購入から1年以内に所有権移転登記を受けるものに限り、税率が1000分の1から1000分の3までの税率に軽減されます(租税特別措置法第73条、第74条第2項、第74条の2第2項、第74条の3第1項)。
(3) 税額
(1)の課税標準額に(3)の税率を乗じて計算した額です。計算した額に100円未満の端数があるときはこれを切り捨て、計算した額が1,000円未満であるときは1,000円とします。
■計算例 1 (固定資産課税台帳の価格が5,125,300円の土地についての売買による所有権移転の登記の場合)
【課税標準】
(固定資産課税台帳の価格) (1,000円未満切捨) 課税標準
(土地)5,125,300円 → 5,125,000 5,125,000円
※ 課税標準額の計算に当たって、複数の不動産を同一の申請書で申請するときはそれぞれの不動産の固定資産課税台帳の価格の合計額から、1,000円に満たない額を切り捨てる。
【登録免許税】
土地の売買
○平成29年4月1日から令和3年3月31日までの間に受ける登記の申請
(課税標準) (税率) (100円未満切捨)
5,125,000円 × 15/1000 = 76,875円 → 76,800円
登録免許税額は、76,800円になります。
○令和3年4月1日から
(課税標準) (税率) (100円未満切捨)
5,125,000円 × 20/1000 = 102,500円 → 102,500円
登録免許税額は、102,500円になります。
■計算例 2 (固定資産課税台帳の価格が3,246,600円の建物についての売買による所有権の移転の登記の場合)
(固定資産課税台帳の価格) (1,000円未満切捨) 課税標準
(建物)3,246,600円 → 3,246,000 3,246,000円
※ 課税標準額の計算に当たって、複数の不動産を同一の申請書で申請するときはそれぞれの不動産の固定資産課税台帳の価格の合計額から、1,000円に満たない額を切り捨てる。
建物の売買
(課税標準) (税率) (100円未満切捨)
3,246,000円 × 20/1000 = 64,920円 → 64,900円
登録免許税額は、64,900円になります。
相続、贈与などを原因とする所有権移転登記の場合
(1)課税標準
市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合は、その価格です。市区町村役場で証明書を発行しています。
固定資産課税台帳の価格がない場合は、登記所が認定した価格です。不動産を管轄する登記所の登記官にお問い合わせください。
1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は、1,000円にまります。
(2)税率
相続又は法人の合併による移転は1000分の4、贈与などそのほかの原因は1000分の20
(3)税額
(1)の課税標準額に(3)の税率を乗じて計算した額です。計算した額に100円未満の端数があるときは切捨て、計算した額が1,000円未満であるときは1,000円とします。
所有権保存登記の場合
(1)課税標準
市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格がある場合は、その価格です。市区町村役場で証明書を発行しています。
固定資産課税台帳の価格がない場合は、登記所が認定した価格です。不動産を管轄する登記所の登記官にお問い合わせください。
1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は、1,000円になります。
(2)税率
1000分の4
なお、個人が住宅用家屋を新築し、又は一定の要件(未使用など)を満たす住宅用家屋を購入した場合には、市区町村などが発行する証明書を添付して、
新築又は購入から1年以内に所有権保存登記を受けるものに限り、税率が1000分の1又は1000分の1.5の税率に軽減されます(租税特別措置法第72条の2、第74条第1項、第74条の2第1項)。
(3)税額
(1)の課税標準額に(3)の税率を乗じて計算した額です。計算した額に100円未満の端数があるときは切り捨て、計算した額が1,000円未満であるときは1,000円とします。
抵当権設定登記の場合
(1)課税標準
債権金額です。1,000円未満の端数は切り捨てます。債権金額が1,000円未満の場合は1,000円になります。
(2)税率
1000分の4
個人が一定の要件を満たす住宅用家屋の購入資金の借入れのために設定する場合などは、税率が1000分の1に軽減されます(租税特別措置法第74条)。
(3)税額
(1)の課税標準額に(3)の税率を乗じて計算した額です。計算した額に100円未満の端数があるときは切り捨て、計算した額が1,000円未満の場合には1,000円になります。
■計算例 (債権金額が15,000,000円の抵当権を設定する登記の場合)
(課税標準額) (税率)
【登録免許税額】= 15,000,000円 × 4/1000 = 60,000円
登録免許制額は、60,000円になります。
抵当権抹消、所有権者の住所又は氏名の変更の登記などの場合
①課税標準 登記する不動産の個数
②税率 不動産1個につき1,000円
なお、同一申請書で20個以上の不動産について登記の抹消をする場合は、20,000円になります。
居住表示の実施に伴って住所の表示を変更する場合は、非課税です。
■計算例 (土地及び建物各1個に設定されている1つの抵当権を抹消する場合)
(課税標準) (税率)
【登録免許税額】 = 2個 × 1,000円 = 2,000円
課税標準は、土地1個、建物1個の計2個にまります。
登録免許税額は2,000円になります。
登録免許税の納付
登録免許税を納付する場合には、原則として現金で国(法務局等)に納付し、その領収書を登記の申請書に貼り付けて提出することになります。
(登録免許税の納付額が多く収入印紙で納めるのが困難な場合は、金融機関にて現金で納めます。)
しかし、登録免許税の額が3万円以下である場合その他特別の場合には、収入印紙を申請書に貼り付けて提出することによって納付することができるものとされています。
これらの領収証書又は収入印紙を申請書にはり付けるには、直接申請書にはり付けないで別葉の白紙(収入印紙貼付台紙)に貼り付けてこれを申請書に合綴し、申請書と白紙とに契印をしてください。(収入印紙には割印や消印をしないでください。)
収入印紙は郵便局でも買えますし、法務局の窓口でも買うことが出来ます。